ジュニアテニスのケガを防ぐ身体づくり
肩・肘・腰・膝・足首の全体像
記事は一般的な情報です。診断や治療の代わりではありません。痛みがあるときは、医療機関を受診してください。
この記事のポイント
- テニスで痛みが出やすい部位と、その背景
- ケガを減らす身体づくりの3つの土台
- 練習を休んで受診を考える目安
テニスは、ラケットを振る動き、走る動き、止まって切り返す動きが、1つの試合の中で何度も入れ替わるスポーツです。肩や肘だけでなく、腰や膝、足首にも負担がかかります。この記事では、ジュニア選手に起こりやすいケガを、部位ごとに整理します。
ケガは「痛い場所だけの問題」ではない
痛みが出る場所は、負担が集まった結果である場合が多くあります。たとえば肘が痛いとき、原因が肩や体幹、股関節の動きにあることもあります。痛い部位だけを見るのではなく、身体全体の使い方を見ることが、予防の出発点です。
テニスでは、どこにケガが起こりやすいか
テニスのケガに関する研究を集めて整理した論文があります。その中では、ケガの多くは下肢(脚)に起こり、次いで上肢(腕)、体幹の順に多いと報告されています(Pluim ら、2006)。
テニスのケガが起こりやすい部位(多い順)
1下肢(脚)太もも・膝・すね・足首・足
2上肢(腕)肩・肘・手首
3体幹胸・お腹・腰

肩や肘のケガが注目されがちですが、脚のケガが最も多い、という点は意外かもしれません。
同じ論文では、次の点も指摘されています。
この論文で分かっていること/まだ分かっていないこと
分かっていること
- ケガは下肢が最も多く、次いで上肢、体幹の順
- 発生率の報告は、研究によって大きくばらつく
まだ分かっていないこと
- テニスのケガ予防の方法を、くじ引き方式の比較試験(RCT)で調べた研究は、当時は見つかっていない
- 「この方法をすれば防げる」と言い切れる段階ではない

つまり、「これをすれば防げる」と言い切れる段階ではありません。だからこそ、練習量・身体の使い方・休養を、バランスよく見ていくことが大切です。
部位別の見方
| 部位 | 負担がかかりやすい場面 | 見ておきたいこと |
|---|---|---|
| 肩 | サーブ、スマッシュ | 背中や体幹の動きも使えているか |
| 肘 | ラケットを握る、ボールの衝撃を受ける | 握りの強さ、股関節や体幹の使い方 |
| 腰 | 身体をひねる、反らす | 成長期は特に、身体の使い方を丁寧に見る |
| 膝 | 走る、止まる、切り返す | 成長期は、膝まわりの痛みが出やすい時期 |
| 足首 | 急な方向転換、着地 | バランスをとる力 |
肩
サーブやスマッシュで、腕を大きく振り上げます。肩だけでなく、背中や体幹の動きも使えているかを見ます。
肘
ラケットを握る力と、ボールの衝撃が集まりやすい部位です。詳しくは、別の記事「テニス肘は子どもにも起こる?」で解説します。
腰
身体をひねる動きと、反らす動きが重なります。成長期は特に、身体の使い方を丁寧に見ます。
膝
走る、止まる、切り返す動きで負担がかかります。成長期は、膝まわりの痛みが出やすい時期でもあります。
足首
急な方向転換や着地で、ひねりやすい部位です。バランスをとる力を育てることが、予防につながります。
ケガを減らす身体づくりの3つの土台
ケガを減らす身体づくりの3つの土台
- 1
動きの土台
股関節・肩・体幹を、ひとつずつ使える状態にしておく。
柔軟性協調性
- 2
練習量の管理
急に増やさない。試合や合宿が続く週は、疲れの様子を見る。
量疲れ
- 3
休養
睡眠と、練習を休む日をつくる。
睡眠休む日

受診を考える目安
次のような場合は、練習を続ける前に、医療機関に相談してください。
練習を休んで、受診を考える目安
- 痛みが数日たっても続く
- 安静にしていても痛む、または夜に痛む
- 腫れや、動かしにくさがある
- 痛みをかばって、フォームが変わっている

この記事は一般的な情報です。診断や治療の代わりにはなりません。
用語メモ
- 下肢・上肢・体幹
- 下肢は脚、上肢は腕、体幹は胸からお腹・腰にかけての胴体の部分です。
- ランダム化比較試験(RCT)
- 参加者をくじ引きのように分けて、ある方法の効果を比べる研究です。方法の効果を調べる研究の中では、信頼度が高いとされています。
よくある質問
テニスでは、どこのケガが一番多いですか?
研究を整理した論文では、ケガは下肢(脚)が最も多く、次いで上肢(腕)、体幹の順だと報告されています。
ケガを防ぐ方法は、証明されていますか?
テニスのケガ予防の方法をくじ引き方式の比較試験(RCT)で調べた研究は、論文が書かれた当時は見つかっていません。そのため、練習量・身体の使い方・休養をバランスよく見ることが大切です。
どんなときに、受診したほうがよいですか?
痛みが数日たっても続く、安静でも痛む、腫れや動かしにくさがある、痛みをかばってフォームが変わっている、といった場合は、練習を続ける前に医療機関に相談してください。
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